変えられない事

ようやく夕御飯が食べ終わったのは1時間後だった。
2人は宿の前をぶらぶらと歩いている。
リナはゼロスの後をついていっているだけ。
どこに行くかはまだしらなかった。
「・・・・・・ずいぶん時間がかかっちゃったわね」
「食欲ないんですか?いつもより少なかったみたいですけど・・・・・」
「うん、なんかあまり食べたくないのよね」
「そうですか、体は壊さないようにしてくださいね」
「うん、気をつけるわ」
ここで急にゼロスが止まった。
空をジ〜っと見つめている。
「なにやってるのゼロス?」
「それは後のお楽しみです。さぁ、行きましょう!!」
ゼロスはマントでリナを覆うとかるく抱きしめて空間を渡った───
────次の瞬間にはさっきとは別の場所。
近くから大きな音が響いている。
───ヒュ〜・・・・・・・ッパ〜ン!!
────ヒュ〜・・・・・・・・・・ッパンパ〜ン!!
「え?何の音!?」
リナが慌ててマントから顔を出した。
敵の襲撃だとでも思ったのだろう、呪文を唱える用意は出来ている。
「リナさん、敵じゃありませんよ。空を見てください」
「え・・・?・・・・うっわ〜、綺麗!!」
リナが空を見上げると、盛大な光が空を飾っていた。
パ〜ン!!と音をたてて広がる光。
それらはまるで花のように広がる。
一つの光が消えるとまた次の光が輝く。
「あれは花火だそうです。この時期に東の地で花火大会が行われると聞いたことがあるので来てみたんですよ」
「へ〜、花火かぁ。一瞬で消えちゃうけど綺麗だね」
「はい、綺麗ですね。でも、一瞬だから綺麗なんですよ」
「・・・・・・え?」
「もし花火がず〜っとしぶとく空で輝いていたらどうです?」
「う〜ん、綺麗な事は綺麗だけどなんか違うわね」
「でしょう?一瞬でも花火は綺麗なんです。いえ、一瞬だからこそ綺麗なんですよ」
──ヒュ〜・・・・・・・・ッパ〜ン!!
話している間にもどんどん花火は上がっていく。
リナは食い入る様に花火を見つめた。
(・・・・そっか、一瞬だからいいのかもね・・・・・・)
「ねぇ、ゼロス」
「なんですか?」
「もしかして、あたしが何に悩んでいたか知ってたの?」
「まぁ、夫婦ですからね♪」
「そっか」
「リナさんは先に逝ってしまいますけど、リナさんと結婚した事は絶対に後悔なんてしませんよ」
「ありがと、なんか悩んでたのがバカらしくなってきちゃった」
リナはゼロスの方を見て苦笑した。
その顔は少し赤い。
そして再び視線は花火に戻る。
───ヒュ〜・・・・・・・・ッパ〜ン!!
花火は音を立てて空に上がり大きく広がり消えていく・・・・・・・。