アメリア流避暑法
<後編>

「「うっ、うわぁ〜〜〜〜!!!!」
俺は真っ暗な闇の中、自分の置かれている状況が今一つ理解できなかった。
息が荒い。それもかなり。
岩だらけの皮膚が微かに濡れている。
手で自分の座っている場所を確認した。
ポンポン
柔らかい布、いやシーツか。
そうだ、あれは夢だ。
「なんだ、そうだよな・・・あはは・・・・・はは・・・・」
ほっとしたせいか、体の力が抜けた。
そのままベッドに横たわる。
シーツの冷たさが気持いい。
しばらく気持を落ちつかせたくて、外の音に耳をすませた。
近くの森の音が耳を通る。
どこかで人の声も混ざっているようだが、まぁいい。
「落ちつく音だな・・・・・・・ちっ、人の声さえなければ」
舌打ちをしたものの、何を言っているのか気になってつい人の声に集中してしまった。
いまいちわからないが集中するほどに少しずつはっきりと聞こえてくる。
『・・・・・・・んっ・・・・・・・やぁ、ガウリイ!きゃぅ!!』
たしかにそう聞こえた。
この時間、誰がどう考えても・・・・・・・・・・そういう事だよな。
「せめて聞こえないようにやれよ・・・」
気まずくなって自分の耳をふさぐ。
でも一回聞いてしまうと聞きたくなくても聞こえてしまう。
リナの喘ぎ声はひっきりなしに途切れる事なく聞こえてきた。
「うぅ・・・うるさいだなんて言いに行く勇気はないし・・・旦那のやつ、恨むぞ」
ベッドの上でこれ以上無理と思われるところまで体を縮めて耳をふさいで、俺は地獄を見ていた。

「うぅぅ・・・・はぅぅ・・・・・うぉぉぉ・・・・・うむむむむ・・・・」
ベッドの上でもだえ苦しむゼルを前にして、アメリアは首を傾げていた。
苦しむ声があまりにも長く心配になって、遠慮がちに入ってきたらこうだったのだ。
原因はわかってる。
何しろ悪夢を見せているの自分なのだから。
「おかしいですねぇ、ちょっと怖い夢を見せるだけの呪文なんですけど??」
昼間アメリアはガウリイとリナをずっと見ていることが出来ず、かといって部屋に戻っても暑いだけなのでそれも出来ずに仕方なく呪文をかけたのだ。
昔まだアメリアが小さいころにお仕置きとして使われていたグレイシア直伝の呪文。
おかげでアメリアは少しだけ暑さをしのげる事が出来た。
先に起きてしまったのは自分には弱くかけたせいだろう。
しかしゼルも後一時間もすれば呪文が切れる。
「まぁ、夢を見ているだけだし大丈夫ですよね?おやすみなさいゼルガディスさん」
怖い夢というよりただの悪夢を見ている事なんて知らないアメリアは部屋を出た。

暑い夏。
そう言うときはやっぱり怖い話で涼しみますよね、皆さん?

くだらな〜い!!
アメリアに悪夢を見せられているゼル、かわいそう・・・・・・。
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