フキゲン

「や」
本日何度目となるだろう・・・・・・・・・?
あたしは言われること全てにいやと答えた。
そのたびに金色の毛並みの大型犬は耳をたれてしっぽが下がってゆく。
その様子がかわいく、そしてそれがあたしをいやといわせる原因なのよね。
だって・・・・・・・・・・・・また見たいじゃない?
あたしみたいな小娘に嫌と言われたぐらいでここまで悲しそうな顔するなんて・・・・・・・・おもしろい♪
最初は確かこんなだったきがする。

バイトがちょうど二人ともない日だった。
学校帰りのあたしをガウリイが迎えに来て、車に乗り込んだのだ。
「どこにいきたい?」
いつものように聞いてきたガウリイに、あたしはいつものように答えた。
「楽しいとこ」
「あのなぁ」
またまたいつものように困った顔をするガウリイ。
いつもだったらここでおわるのだが、その日のあたしはすこぉ〜しご機嫌斜めの日だったのよね。
別にあの日の直前だったからとか、ガウリイが来るのが遅かったからとか、レポート期限の日だったからなんてことはないわ!!
「で、どこ行くんだ?」
「ふふっ、たのしいとこ」
「だ〜か〜らぁ」
「楽しいところじゃなきゃいや」
かわいく言ってみるあたし。
ガウリイは困ったようで、タバコに火をつけた。
いっつもガウリイは困ったりわからなくなったりするとタバコに火をつける。
あたしがいないところでは結構吸っているらしいけど、あたしの前で吸うのは珍しい。
吸わないあたしに気を使ってるのか、目の前で吸っても絶対に煙がこないようにしてくれる。
窓の外に向かって煙を吐くガウリイの横顔を見つめて、再びかわいらしくセリフをはいた。
「たのしいとこに連れてって♪」
「リナが楽しいところねぇ・・・・・」
ふーっと煙をはく。
表情は困った顔なんだがそれでもきまってしまうこいつって・・・・・・。
だんだん面白くなってきたあたしは次の作戦を実行した。
「俺はどこでもいいからリナが決めな」
「や」
「や、って・・・・・りぃなぁ〜」
「や」
「じゃぁ、俺が楽しいところに連れてくぞ?」
含みをこめた笑い。
それにもひるまずにあたしはにっこりと笑って答えた。
「や♪」
「じゃぁ、今日はどこにも行かないのか?」
「い〜やっ」
「俺は決めないぞ?」
「やぁ〜」
「頼むから決めてくれよぉ、リナ」
「や」
「わかった、俺が決めるぞ?」
「ん〜・・・・・・・・・や」
「お〜い・・・・・・・・・・・・・」
ここでちょうど信号に引っかかった。
ガウリイがタバコの火を消して、その余った手をあたしに伸ばしてきた。
「や、しかいわないなら今ここでキスするぞ」
「え!?やっ、や〜よ、皆に見られるじゃない!!」
にっっとガウリイが口を吊り上げた。
「ようやくしゃべったな、全く」
「あんたってほんと大型犬よね?」
「そうか?」
「穏やかだし、普通怒らない??」
「ん〜、そうだなぁ」
あたしから視線をはずして信号を見つめる。
首を軽くひねった後、ハンドルを握ってアクセルを踏みながらぼそっとつぶやいた。
「好きで好きでどうしようもないからかな」
「んなっ!?そ、それとこれとは関係ないでしょ?」
「なにやってもかわいいんだよ、俺には。こればっかりはしょうがないだろ」
何かを言いたくて身を乗り出したのだが、あまりにも優しい笑みを浮かべているこいつにあたしは何も言うことが見つからなかった。
ったく、今日は暑いわ!!

最後のセリフで気づいたひといます?
実はとある曲の歌詞なんですよねぇ〜。
『好きで好きでどうしようもない
 それとこれとは関係ない』って歌詞なんですけど、なんか好きなトコロ♪
『こんなこんな汚れたまちであなたはただ美しい』ってフレーズも好きだなぁ。
でもガウリナって言うよりはゼロリナってかんじです、あたしには。
今度書こうかなぁなんておもってます♪