そして始まる
<2>
「・・・・・・どうでもいいからその服着せておいて」
「え?リナさんの服を僕が脱がせるんですか?そんなこと僕には・・・・・・・」
頬をほんのり赤く染めてくねくねするゼロス。
なんとも言えず気持ち悪い・・・・・・。
「いちいち脱がせなくても着替えさせるくらいできるでしょう!!」
「・・・は〜い・・・おちゃめなジョークだったのに・・・・・・・・」
「早くしないとその子が起きちゃうでしょう?私の新しい子がねぇ」
「どうですか?娘ができた心境は?」
「結構嬉しいわよ、私は変わってる子が好きなの♪」
話している間にリナの服はゼロスによって変えられた。
リナのためにゼラスの欠片から作った服へと。
ゼラスの欠片から作られた服は魔道士の服ではなくどちらかと言うと剣士用の服に近い。
黒を基調とした服で、襟は立っている。
下は体にぴったりとしたズボン。
どこかでみたような・・・・・・・?
「あら、結構似合うじゃない♪」
「これってもしかしてシェーラさんの服をまねて作りました?」
「ええ、そうよ。この子は私によって精神だけ魔族にしたの。だから獣将軍よ♪♪」
・・・・・・・・・・・・ゼロスがぴたっと止まった。
そして、数秒の間があく。
「え〜!いいんですか!?人間が高位魔族の名をもらうなんて聞いた事ありませんよ?」
「いいじゃない、私が決めたのよ?それに、力も与えておいたからゼロスほどじゃないけど十分強いはずよ」
「他の方が許してくれますかね〜・・・・・・・?」
「あぁ、それも平気。この事はみんなに話してあるもの」
これでリナはれっきとした高位魔族となった。
魔族といっても、体や魂そのものは人間だ。
変えられたのは精神だけ、いや精神だけでも十分かもしれない。
体は人間だがゼラスの服があらゆる攻撃から守ってくれるし、力も与えられたから十分強い。
もちろん、体や魂は人間のままなので魔法は使える。
まさにいいとこどりとはこの事だろう。
「さすがゼラス様、用意周到ですね。あ、名前はどうするのですか?」
「う〜ん、リナのリをとってゼリスってとこかしら?」
「僕なんかは呼びなれてるリナさんって間違えちゃいそうですね」
ゼロスは苦笑まじりに言った。
「そうねぇ、全部くっつけちゃいましょう!!リナ=ゼリス=メタリオムでいいんじゃない?」
なんて安直なネーミング・・・・・・・。
魔族にとって名前とはこんなに軽いものなのだろうか・・・・・。
ゼロスもやや呆れ顔。
「ずいぶん適当な・・・・・・・。でもそれならどちらで呼んでもいいんですよね」
「そうよ、決まり!!この子はリナ=ゼリス=メタリオムよ♪」
「僕の妹ってとこですか。くすっ、おもしろくなってきました♪」
「私も楽しくて仕方ないわ。この子がもう少しするとあなたと一緒に神族と人間を倒してくれるんですものねぇ」
闇の中、二人の笑い声がどこまでも響いた─────
ようやく駒がそろった。
いまはまだ始まったばかり。
そう、ようやく始まる─────
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