この子誰の子あたしの子!?
<3>
1人用のベットの上に人が3人。
どう見ても定員オーバーなのだが見た目はそれほど窮屈そうではない。
1番右に寝ているのはゼロスと一緒に現れたセレス君。
肩までのくりくりっとした栗色の髪で、今は閉じられているが大きくてぱっちりとした赤紫の瞳。
まるで女の子に見えるがセレス君は立派な男の子。
年は3歳から4歳といったところだろう。
中央に寝ているのは紅い瞳に所々はねている栗色の長い髪、ご存知リナだ。
左に寝ているのは・・・・・・?
年は6才か7歳ぐらいの、さらさらしている漆黒の長い髪をした女の子。
寝ているので瞳の色まではわからない。
だがこの顔はどこかで・・・・・・・・・・・・。
「・・・う〜ん・・・・・・・・・・・」
セレスの足が急に遠慮なくリナのお腹に落ちてきた。
その足は見事にみぞおちにはまる。
「・・はぐっ!!・・・・何よ?・・・・う〜、いたい・・・・え!?増えてる!!」
今の衝撃で起きてしまったリナは一人増えている事に気づいた。
髪で顔がよく見えないのでそ〜っとその子の髪をかきあげる。
「・・・・・・・・こ、このかおは・・・・・・・・まさか・・・・・・・」
『はい、あったり〜♪僕そっくりでしょう?』
「ゼロス!!今すぐ姿をあらわしてきっちりさっぱりすっぱり事情を説明しなさい!!
『はいはい、そう言うと思いましたよ。待ってて下さいね』
そう言うなりリナの目の前の空間が歪み、その中からゼロスが姿をあらわした。
「一応説明はしますけどちゃんと信じてくださいよ?」
「内容によるわね」
「う〜ん、内容ですかぁ。ま、説明する方が早いですから説明しちゃいましょう」
「ちゃんと説明してよ?」
「はい、わかってます。実はですね、この二人は兄弟なんですよ」
ずべっ・・・・・・・・・
リナが思わずベットから落ちた。
兄弟だなんて見ればわかると思うぞ・・・・・・・?
髪の色や質こそ違えど、体を包む雰囲気や顔の輪郭などがよく似ている。
これで他人ですなんて言われても困るだろう。
「リナさん、こけてないでちゃんと聞いてくださいよ」
誰のせいだ!!と言いたいところだが、ここはぐっと我慢をして話を聞く。
「それでですね、どうやらこの二人は未来から来たようなんです」
「・・・・・・・・・未来〜!?」
「はい、未来です。僕はこの前妙な力を感じたのである場所にいったら、そこにセレスがいたんですよ」
「とある場所ってどこ?」
「どうしても教えてほしいですか?」
「教えてよ」
「ほんとに教えてほしいんですか?」
じらされると余計に聞きたくなってしまうのが人間というもの。
その辺をわかっててゼロスはわざとじらしているんだろう。
うっすらと口元にいつもと違う笑みが含まれている。
「教えてってば!!」
「ヒントをあげましょう。そこは普通の人間だったら行く事は出来ません」
「え〜?それだけじゃわかんないわよ」
「・・・・・・仕方ないですねぇ、そこは山脈です」
「まさか・・・・・・カタート山脈!?」
「はい、当たりです♪びっくりしましたよ、こんな子供がカタートで迷子になってたんですから」
「そりゃ、びっくりするわね。どうやって入ったわけ?」
「入ったというより流されたと言ったほうが正しいでしょう」
「流された?どういうことよ」
リナはベットの上から離れて近くの椅子を寄せた。
子供二人にしっかりと布団をかけなおすとパジャマのままだがこの際気にせずにそのまま椅子に座る。
(こうやってみてみると、リナさんも母親に見えますね)
それをみていたゼロスは妙な所で感心している。
「二人はどうやら力の制御の練習をしていたらしいんです。セレスから聞いたのでよくはわからないんですけどね」
「力が暴走したの?・・・・・・・あ!それで空間が変に歪んで時空を流されてカタートについたのね」
「さすがリナさん。まぁ、そういうわけなんですよ。ちなみに黒髪の子はセレナです」
「セレスとセレナねぇ・・・・・・・・・・やっかいだわ」
リナはあたまをがっくりと落とした。
ただでさえ自分がゼロスをどう言う風に思っているのかよくわからなくて混乱しているのに・・・・・。
子供まで現れるとは・・・・・・・・・・・・。
「リナさん、この子達が元の時代に戻るまでは親子4人でがんばりましょうね♪」
ずべしっ!!
またもやリナは床に転げ落ちた。
ゼロスは慌てずにリナを抱き起こす。
「大丈夫ですかぁ?いくらリナさんが頑丈でも何回も転ぶと危ないですよ?」
「誰のせいだぁぁあああ!!!」
「え?僕ですか?」
「親子4人でがんばりましょうね、なんて魔族が言ってるのを見たら誰でもこけるわよ・・・・・・・」
「差別はいけませんよ、リナさん」
「それも魔族のセリフじゃないわね・・・・・・・・」
「何言ったっていいじゃないですかぁ」
「・・・・・・もう好きにしてあたしはもう一回寝るわ、おやすみ」
そういうと、リナは椅子から立ちあがってすぐさまベットの中へもぐりこむ。
ゼロスに声をかける間はなかった。
「ふ〜む、僕も一緒に寝ましょうかねぇ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「リナさんはもう寝ているようだし、文句は言われませんよね」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「じゃあ、さっそく・・・・・・・・・はぐっ!!」
布団を上げようとかがんだゼロスの顔にリナの投げた枕が命中!!
「あんたの入る場所はないわよ!!」
「家族なんだからいいじゃないですかぁ・・・・・・」
「だめ!!」
「そんなぁ〜・・・・・」
「おやすみ!!」
リナは布団をかぶりなおして顔まですっぽりと中に入ってしまった。
ゼロスは隅っこで「の」の字を書いていたりする・・・・・・・・・。
(ふ〜んだ、そっちがそういう態度をとるんでしたら僕も二人が元の時代に変える方法を教えません!!)
そのあとゼロスはしばらく「の」の字を書いていたらしい・・・・・・・・・。
こういうわけで、セレスとセレナが元の時代へ戻れるのはもうちょっと先の事となる。
いつ帰れるかはゼロスの気分次第・・・・・・・・・・・。
風の噂では、仲良さそうなかわいらしい(怪しい)4人家族があちこちで目撃されたという。
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