It's time for tea
どこにでもあるような何の変哲もない小さな街。
あたしとゼロスは今そんな街に滞在している。
この辺は盗賊も少なくて、あたしにはおもしろくもない街なのだが・・・・・・・・・・・。
ゼロスには十分おもしろいらしくあたしが次の街に行こうという度にしぶっている。
あたしもあそこまでしぶられると強行するわけにもいかずだらだらとこの街で過ごしているわけなのだ。
ゼロスがこの街にいたがる理由はたった一つ。
この街にはなぜか紅茶の葉が豊富にそろっているそうだ。
紅茶好きなゼロスにはたまらない街なわけである。
まぁ、あたしもそのおかげでゼロスがいれたおいしい紅茶が飲めるんだけどね♪
しかし、さすがに3ヶ月もいるとあきてくる・・・・・・・・。
なんたって盗賊さんたちがもういないのよ〜!!!!
「まったく!!今日も紅茶のお店に行くなんてよく飽きないわね!!」
あたしは椅子に座って本を読みながら誰にでもなく叫んだ。
もちろん、この部屋にはあたししかいないのだから返事が返ってくるはずもない。
が・・・・・・・・。
ガチャ───
「そのおかげでおいしい紅茶が飲めるじゃないですか、リナさん♪」
「え!?うわぁ〜!!・・・・・・いきなり声かけないでよ、おどろいたじゃない」
思わず本を落としそうになったあたしはゼロスを睨みつける。
ゼロスはすまなそうな顔をすると、すぐに紅茶を入れる準備をはじめた。
「今日は珍しい紅茶ではないんですよ。たまにはいつもの紅茶もいいでしょう?」「いつものってなぁに?」
「アールグレイです。リナさん好きでしょう?」
「やった♪アールグレイのアイスティーっておいしいのよねぇ」
あたしは口元を緩ませた。
最近珍しい紅茶ばかり飲んでいたのでアールグレイが飲みたくなっていたところだった。
ゼロスは何も言わなくてもいつもあたしの飲みたい紅茶を作ってくれる。
そういうところは魔族っぽくないがいい所だと思う。
ふと、紅茶のいい香りが部屋の中にたちはじめた。
「あ、いい香り♪アールグレイの香りっていいわよね〜♪」
「たまにはホットで飲みますか?」
紅茶を入れたポットとティーカップを2つ持ちながら、ゼロスがあたしの向かい側に座った。
紅茶を蒸らしている間、ゼロスはポットとにらめっこをしている。
すっかり砂糖の事を忘れているようなのであたしは本をいったんやめて声をかけた。「砂糖は?」
「あ、今もってきます」
慌てて椅子から立ち上がってゼロスは砂糖を持ってくる。
あたしは読みかけの本に再び目をもどしたが・・・・・・・・・・・。
「ん?今ホットで飲むとか言った?」
砂糖とついでにスプーンを持って、椅子に座りながらゼロスが答える。
「いいましたけど?」
不思議そうな顔をするゼロス。
「アールグレイってホットで飲んだことないからよくわかんないけどおいしいの?」
「あぁ、そういえばアイスでしかリナさんには出した事なかったですね」
「あたしにはってことは・・・・・・・・・・他に誰に紅茶出してるのよ」
あたしは少しむっとしてゼロスから目線をそらす。
(おやおや、すねてしまいましたか。かわいいですねぇ)
ゼロスがにこにこと笑っているのが横目から見えて、あたしは更にむっとする。
「たまにはすねてるリナさんを見るのもいいですね♪」
「別にすねてるわけじゃないわよ」
「ほら、すねてるじゃないですかぁ」
「すねてないってば。・・・・・・・・誰に紅茶出したのよ?」
「すねてるって認めないと教えてあげませんよ?」
さも面白そうにゼロスがふふっと笑う。
こういう時は何を言ってもあたしの負け・・・・・・・・・。
くやしいが認めざるをえない。
くっそぉ!!いつか言い負かしてやるわ!!
「・・・・・・・認めるから教えて」
「じゃあついでにキスしてくれたら・・・・・・・・・なんでもないです・・・・・」
あたしの目つきに気づいてとどまったらしい。
目つきじゃなくてアストラルヴァインつきのスリッパが気づかれたのだろうか?
今はそれより誰に紅茶を出したのか気になる!!
「で、誰に出したの?」
「ゼラス様ですよ。今はリナさんだけですけどね♪」
「なぁ〜んだ」
「あ、そろそろ3,4分たちましたね」
ゼロスはカップに濃さが平等になるように注ぐ。
あたしは本にしきりを挟んでその辺に置いた。
紅茶のいい香りがなんとも言えずたまらない。
ゼロスがあたしの分を前に置いてくれた。
「さぁ、熱いうちにどうぞ」
「ん、ありがと」
砂糖をいつも通りの量でいれて、恐る恐る飲んでみた。
「・・・・あつっ・・・・あ、おいしいわね」
「でしょう?僕はホットのアールグレイの方が好きなんですよ」
「あたしはどっちでもいいかなぁ。ゼロスが入れてくれた紅茶ってどれもおいしいし」「そうですか?じゃあ、紅茶をおいしく入れるこつを教えてあげましょう」
「・・・・・愛とか言ったら殴るわよ?」
「・・・・・・・・・・・うっ・・・」
どうやら図星だったらしい。
紅茶に愛を入れる魔族って・・・・・・・・・・・。
あたしはゼロスを無視して紅茶を飲む。
ゼロスもそれを見て飲み始めた。
猫舌のゼロスは、熱いと飲めないのでいつも飲むときは人が飲んでから飲む。
「ねぇ、明日はあたしが紅茶入れてあげようか?」
「僕のために入れてくれるんですか!?うれしいです!!」
「別にあんたのためじゃ・・・・・・・・」
「照れない照れない♪明日は一緒にお店に行きましょうね」
「し、仕方ないから一緒に行ってあげるわ!!」
紅茶を一気に飲み干して、あたしは再び本を開いた。
ベ、べつに照れてるわけじゃないわよ!!本が読みたかっただけ!!
「くすっ♪本当にリナさんはかわいいですよねぇ」
「・・・・・・・・・本読んでるんだから静かにして」
「おや?顔が赤いですよぉ?」
「あついのよ!!」
「こんなに風が吹いてるのに?」
「あたしはあついの!!」
「くすくすっ♪」
この後しばらくゼロスは笑い続けた。
あたしは何も言えないのでそのままほおって置く。
ふっふっふ、明日は覚えてなさい!!
めちゃくちゃ渋い紅茶を飲ませてあげるんだから!!
おいしい紅茶はあいつがあやっまたらね♪
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