ど〜るす はぷにんぐ
獣王様のお気に入り〜私最近暇なのよね〜
チッチッチッチッチ──────
ゼラスの趣味で置いてある時計の針の音が嫌に大きく聞える。
チッチッチッチッチッチッチ―――――――――
静かな時、時計の針の音は時間を刻む物ではなく神経を刻む者だと思うのは気のせいだろうか?
いや、気のせいではないだろう。
その証拠にこのあたり周辺には信じられないくらいの瘴気が渦巻いている。
いつもだったらこんなに二人そろって瘴気を隠さないなんてことはない。
やはり、時計は魔族の神経すらも切り刻む者らしい。
もちろんパペットのほうは神経を切り刻まれてとっくに泣いている。
泣くなんて行動は魔族には本来ないものだが、現在人間の中に入っている以上は泣くという事も出来るようだ。
だぁ〜〜〜〜〜っと涙を流し続けている。
・・・・・・・一体からだの中の水分はどれほど涙に使われたのだろう。
すでに何リットルもの水分が失われているはずなのだが・・・・・・・・・・・・?
ピクッ――!
ゼロスの眉がかすかに動いた。
それを見たゼラスは唇を少しだけ吊り上げる。まるで勝ったとでもいうように・・・・・。
「・・・・・・ゼラス様」
「何かしら?」
「しばらくお暇を頂きたいのですが、よろしいでしょうか?よろしいですよねぇ、もちろん。ゼラス様には優秀な部下が山ほどいるのでしょうし」
「そうね、別に良いわよ」
ピクピクッ――!!
思ってた以上にさらっといわれたゼロスは口を引きつらせたが、すぐにいつもの笑みを張りつけてその場から消えた。
―――シュッ――
――――――バシュッ―――
ゼロスと同時にパペットまで姿を消す。
ゼラスはほおっと息を吐いた。
「よ〜っし♪おもしろいことになったわね」
さっきとはうってかわっておもしろくてたまらない、そんな表情で。
「思ってたよりもおもしろくなりそうねぇ、グラウシェラーも呼ぼうかしら?」
――シュンッ――――
「・・・・呼んだか、ゼラス?」
タイミングを見計らった様に現れたのはグラウシェラー。
それを全く驚きもせずにゼラスはどこから取り出したのかグラスを渡す。
「ワインでも飲みながら、どう?」
「そうさせてもらおう。全く、お前は余程ゼロスが気に入っているのだな。からかって何が楽しい?」
「別に?ただ退屈なのよ、毎日が」
「それは城から出ないからだろう?たまには外に出たらどうだ」
「くすっ、貴方と一緒に?」
言葉と共に自分の腕をグラウシェラーに絡ませた。
グラウシェラーは嫌な顔こそしないものの、うまく腕から逃れる。
「あら、ふられちゃった 」
小さく笑うと、グラウシェラーが受け取ったグラスの中にワインを注ぐ。
「ゼロスがリナ=インバースの元についた様だぞ」
ワインが注がれているグラスを見つめながらグラウシェラーが呟いた。
「そうみたいね、これでリナ=インバースにとっては事件解決ってことになるわ。でも・・」
「ゼロスと、例の娘には始まりなんだろう?」
「えぇ、ようやくね」
「楽しみだ、一体どうなるのだか・・・・・・」
こちらは相変わらず呆けているガウリイと、すでに気力を失ったリナ。
そこにゼロスがパペットを連れて現れた。
「リナさ〜ん、生きてます?」
『・・・・はっ!ゼロス!?ふっふっふっふっふ・・・・・・覚悟はいいわね?ラグナブレードでぶった切ってやるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!』
「はっはっは、せっかく人間に戻してあげようとしているのに僕のやる気を失わせて良いんですか?」
『・・ぐっ・・・しかたがない、ここはがまんするしかないわね』
「さすがリナさん、賢い選択です。さぁパペット、元に戻してくださいね」
「・・・はい」
パペットはすたすたと偽ガウリイ、もとい自分の操り人形へと近づいた。
『・・・パペット?・・・・・・操り人形って意味よね・・・・・・・へぇ、あたし達は最初からあんたに騙されていた訳ね?』
パペットはなにも答えずに偽ガウリイもとい、くどい様だが自分の操り人形の顔を自分の方に向かせて――――――
唇を合わせた。
『なっ!?なにするのよ!!!』
そういった瞬間にリナは軽いめまいに襲われ・・・・・・・・・・気づけば元の体に戻されていた。
同様にガウリイも打撲だらけの体をさすりつつ起き上がる。
「・・・いててっ・・・・・リナ、あとで呪文たのむ」
「今かけるわ、座って」
「ん、ここでいいか?」
「うん、・・・・・・・・・ぶつぶつぶつ・・・・・・・リカバリィ!!」
リナの手のひらから暖かい光が放ち、ガウリイの傷を癒した。
「あのぅ、それじゃ僕達は先を急ぎますのでこのへんで」
「ちょっと!」
―――シュッ――
リナのいうのも聞かずに二人は消え去ってしまった。
残された二人はしばらく何もいえなかった・・・・・・・・・。
数分後―――
「・・・一体今回の事件はなんだった訳?」
「・・・・・・さぁ?リナにわからないのに俺がわかるわけないだろ♪」
「偉そうに言うなぁぁぁぁぁぁ!!」
すぱこ〜んっ!!
今日もスリッパの音が気持ちよく響いた。
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