忘却の中の光輝
・・・・・・・・お互いに目を合わせるのだが、動けない。
紅い瞳を更にあかくさせてしまったのに何も言えない。
ただ、ここにリナがいるだけでそれだけで満足してしまったのか、さっきまでの焦っていた気持ちは消えてしまった。
それでも・・・・・・・何か言わないとまずいよな・・・・・・・・・。
「・・・・・リナ?」
俺は床に膝をつけたまま名前を呼んだ。
他に気の聞いたセリフでも言えれば良いのだが思いつかないものは仕方がない。
「・・あ・・え・・・・っと・・・・・」
リナは呼ばれて初めて気がついた様に、困ったような顔をする。
さっきまで合っていた目線はいろいろな方向へ向かれてしまう。
「リナ」
俺はもう一度ゆっくりと名前を呼んだ。
リナはまたも困ったような顔で目を泳がせた。
「・・・・・・ごめん、リナ。どこから聞いてたんだ?」
「・・・・・・・・・シルフィールと隣の町の酒場で話してるとこ、ぐ、ぐうぜんなの」
リナが聞いていた場面はまさに勘違いしやすい場面だった。
俺とシルフィールは、いや実際はアメリアやゼルも加わっているのだが、俺達はある計画を立てていた。
ちょうど俺とリナが出会って5年目の日、その日に・・・・・・その・・・・いきなり結婚式をあげて驚かそうとしていたのだ。
もちろん、驚かす相手はリナ。
半年ぐらい前からそういう仲になっていたし、年齢もそろそろいい頃だしな。
あの夜は計画の日の2週間前で、最終段階に入っていた。
リナと共に滞在していた町の酒場で、夜に抜け出してシルフィールと打ち合わせをしていたのだが・・・・・・・・・。
リナも盗賊いじめに出かけたし、大丈夫だと思っていた。
まさかあそこから見られていたとは・・・・・・。
「・・・・あたしの事は気にしないでよ」
「リナ、ごめん違うんだって」
「言わなくてもいい、わかってる。気がつかなくってごめん、ほらっ、あたしまだまだ子供だから」
「・・・・・・違う」
「大丈夫、心配しないでよ保護者さん」
「何が大丈夫なんだよ、、泣きそうな声して」
「・・・・・・・・・・・ここでお別れしよ?あんたの結婚式にはちゃんと出るからさ、シルフィールによろしくね」
「・・・・・・・違うんだよ、リナ」
「気を使わなくったっていいって言ってるでしょ?ほらっ、あたしも忙しいし、早く戻ってあげなよ」
「どうしたらわかってくれる?」
「・・・・・・どうしろっていうの?最後ぐらいは笑ってバイバイしたいのに・・・・・なんでさっさとあたしにいわなかったのよ」
「リナ」
「シルフィールが好きだったんならそう言えばよかったでしょ!?あたしは・・・・・・・」
口篭もってしまったリナを、俺はじっと見つめていた。
ここから先のせりふを聞きたい。
いつも隠していってくれなかった言葉を聞きたい。
「・・・・あたしは・・・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・これ以上はリナには無理か。
ちょっと残念だったが、俺からいう事にしよう。
「リナ、俺が好きなのはシルフィールじゃない」
「結婚式あげるっていってたじゃない」
「違うんだって、それは」
「好きじゃないのに結婚するわけ?」
リナの目は明らかに『最低!』と言っている。
ここまで軽蔑視されるとさすがにつらいかもしれない・・・・・・・・。
早いとこ誤解を解かなければ!!
「皆と計画してたんだ」
「何を?」
「・・・・いや・・・・・それは・・・・・」
「あたしにいえないの?」
「・・・・・・・・リナを驚かそうと思って立てた計画なんだ」
「いきなりシルフィールと結婚すればそりゃ驚くわね」
リナの厳しい口調に少しピキッときた。
どうして俺の話を最後まで聞いてくれないんだ、こいつは。
この計画に一体どれほどの苦労をかけたのか・・・・・・・・・・・・・・。
普段使わない脳みそまで使ったのに・・・・。
「違うっていってるだろ、シルフィールじゃなくてリナとなんだよ!!」
だぁぁぁぁああ!!怒った口調でいってどうする!?
もっとムードのある所で優しくいうつもりだったのにぃ〜!!!
「・・・・・・・・・・・あたし?」
「そう、おまえ」
こうなったら仕方がない、リナの誤解を解くには全てをいうしかないだろうなぁ。
せっかくおどかそうと思ったのに・・・・・しくしくしく・・・・・。
「俺たちが初めて会った日がもうすぐだろ?その日に結婚式をあげようとおもってたんだよ」
「・・・・・・・・あたしと?」
「そう、他に誰と結婚しろっていうんだ。俺が好きなのはお前さんだけだよ」
「・・・・・・・・あたし?」
「リナ、俺と結婚しないか?」
こう改まっていうと、なんか恥ずかしかった。
思わず自分の頬をぽりぽりとかく。
一方リナは・・・・・・・・・固まっていた。
「お〜い、リナ〜?・・・・・・・・・こりゃ当分固まってるかもな・・・・・・・・ふぅ・・・・・・」
小さくため息をつくと、目の前で真っ赤になってかたまっているリナをぎゅっと抱きしめた。
それでもリナは固まったまま動かない。
「り〜な〜?」
腕の中に声をかけるが返事はなし。
「・・・・・・・・無事に式挙げられるかな、こんなんで・・・・・・・」
誓いのキスなんてしたらどうなる事か・・・・・・・・・・。
「あと1週間あるし、いっぱい練習しような 」
聞いているのか聞いていないのか知らないが、俺はリナをもう一度ぎゅ〜っと腕の中に閉じこめた。
後日、俺がすぐにリナを追いかけられなかった理由を聞かれ、俺はこう答えた。
「空から俺の頭めがけて俺たちの子供が二人落ちてきたんだ、それで記憶喪失」
もちろん信じてくれなかったのはいうまでもない。容赦なく吹っ飛ばされた・・・・・・・・。
・・・・・・・・・ま、近い将来あのふたりには会えるだろう。
少なくとも、俺と一緒にいた少女はすでにリナのお腹の中にいる♪
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