約束と言う名の取引
とうとう約束の時間ね、あいつが来るわ・・・・・・・・。
リナはタリスマンとバンダナ、剣をつけてマントを羽織って完全武装をする。
そして、覚悟を決めて窓の前に立った。
その途端に・・・・・・。
「こんばんわ、リナさん」
窓の外に神官の姿の青年が現れた。
「あら、いいタイミングだったわね」
2人とも笑顔で挨拶を交わす。
が、あくまで口調は冷たい。
「さあ、約束です。一緒に来てください」
青年は空に浮かびながら手を差し伸べた。
さっきまでの笑みは消え、紫の瞳が鋭く光っている。
その瞳が、拒否は許されない事を物語っている。
リナは一瞬間を置き、静かにそしてきっぱりと答えた。
「ゼロス、あなたとは行かない」
ゼロスはすぅーっと目を細めると、窓の枠に降り立った。
「ほう・・・・。約束を守らない、と」
「くっ!!約束を守らなかったのはあんたでしょ!?・・・・違うとは言わせないわよ」
思わず怒鳴ってしまったリナは、徐々に声のトーンを下げて感情を抑える。
ゼロス相手にいちいち感情を出していたら喜ばせるだけである。
そして、そのままつけこまれてこっちが不利になるのはめに見えている。
それだけはなんとしても避けたい。
「くすっ、もうくれないんですかぁ?リナさんのはけっこうおいしいんですけどねぇ」
これは明らかに挑発だ。
しかし、こんな挑発にのるようなリナではない。
もちろんゼロスも十分その事を承知の上でやっている。
「そう、それはどうも」
「さあ、そろそろ行きましょうか?」
ゼロスは再び手を差し伸べた。
リナにその手を取る気は全くない。
「それは約束を守ったらの話でしょう?」
その言葉に、ゼロスは意外そうな顔をする。
そしてにっこりと微笑むと、おかしそうにこう言った。
「約束は守ったでしょう?ちゃんと3日待ちましたし、彼らにも手を出していませんよ僕は」
「僕は、ねぇ・・・・・。たしかにあなたは約束を破ってないわね」
「でしょう?・・・・・・くすくすっ・・・・」
リナは悔しそうに唇をかみ締める。
やられたっ!
でもあたしがなんとかしなきゃあいつらは・・・・・・。
「ねぇ、ゼロス。あたしはあなたと一緒に行くって約束したのよね」
「そうですよ、何をいまさら」
「仲間になるとは言ってないわよねぇ?」
ゼロスの眉がぴくっと動く。
そして、短くふうっとため息をついた。
「・・・そうきましたか。で、何がお望みなんです?」
「もちろん、ガウリイ達を元に戻す事よ」
「仕方ありませんね、でも条件があります」
「わかってるわよ、仲間になればいいんでしょ」
それを聞いて、ゼロスはにっこりと笑った。
「はい、では今度こそ約束を守ってくださいね」
「そっちもね」
リナは満足そうに微笑み、ゼロスの手を取る。
ゼロスはリナをマントで覆うと、そのまま一緒に闇へと消えていってしまった・・・・・。
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