くらげの本性は?

<後編>

「なんでだよ、好きなんだろ?」
ルークが先に沈黙をやぶった。
が、ガウリイは答えない。
「・・・好きじゃないのか?俺にはそう見えたんだがな」
「じゃあ、聞くけど。ルークはミリーナが好きなんだよな?」
「もちろん♪」
さも当たり前のように答えるルーク。
ミリーナの名前を聞いて、頭の中に顔が浮かんだ。
ついつい口元が緩んでしまう。
「ミリーナを恐がらせるような事したいか?」
「あ・・・・・・・」
ガウリイの問いに言葉が詰まってしまった。
「リナはまだ何もわかってない。そういう事に関しちゃまだまだ子供だ」
「確かにな。じゃあ、気持ちくらいは伝えたんだろうな?」
今度はガウリイが答えに詰まる。痛い所をさされた。
リナの事を子供だからと言って、それを言えない理由にしているのだ。
本当は自分が臆病なだけなのに・・・・・・・。
「伝えてないわけか・・・・・・・」
ルークは短く息を吐いた。
ガウリイは苦笑するだけ。
「なんで言わないんだ?」
「・・・・さあな」
「話しちまえよ、男同士だろ?あいつには絶対に言わないからさ」
「・・・・もうおそいし寝ないか?」
ガウリイは話をそらした。
ルークでなくても誰でもわかる。
話をそらすと同時に、視線もそらしたのだ。
カチンときたルークだったが、ぐっと我慢をしてもう一度声をかける。
話しやすいように声を明るくして。
「ガウリイ、話してみろよ」
(そういや、なんで俺がここまでしなくちゃいけないんだよ)
心の中では愚痴をこぼしまくっていたが・・・・・・・。
「別に話す事なんてないさ」
その一言に、ルークは今度こそ切れた。
椅子から立ち上がり、テーブルをばんっと叩く。その拍子に剣が落ちた。
ガッシャーン
「ガウリイ!!いいかげんにしろっ!!」
ガウリイは腰をかがめると、剣を拾ってまたテーブルの上に置く。
「あんまり大きな声だすと皆起きるぞ」
「お前が悪いんだろうが、さっさと言えよ」
「・・・・ったく、言ったら静かにするか?」
ルークは頷いて椅子に座った。
ガウリイはため息を一つつくと、静かに話し始める。
「リナが子供だからと言うのは単なるいいわけだ」
「やっぱりな、それで?」
「本当は、あいつを失うのが恐いだけ。気持ちを受け入れてもらえなかった時、もうこの場所には戻れない」
「う〜ん、それは俺もわかるな」
「それに、俺を保護者だと思ってる。俺が言ったんだけどな。そんな奴からいきなり言われても困るだろうし」
そのまま、ガウリイはぽつぽつと本音を語った。
ルークはそれをただ聞くだけ。
文句を言いたい時もあったが、人の事も言えないなと思い苦笑していた。

ようやく日が昇り始めた頃、二人はぐっすりと眠っていた。
今日は寝坊まちがい無しだろう。
2人を起こしにきたリナとミリーナは、机に突っ伏して寝ている姿を見て、起こさないよう静かに笑った。
「これじゃあ、どっちが子供なんだかわからないわよね」
「くすくすっ、そうね」
「ガウリイさんの本音がわかったんだし、今日ぐらいは素直になったら?」
「ミリーナこそやさしくしてあげたら?」
実はこの2人、ルークが大声を出したせいで起きていたのだ。
耳が良い二人は、ガウリイとルークの話をばっちり聞いていた。
「どうする?先にご飯食べる?」
「そうね。それと、食べた後でちゃんと言ってあげた方が良いわよ」
「わかってるわよ」
リナが照れ隠しにそっぽを向く。
ミリーナはにっこりと微笑むと、小声でルークにささやいた。
「お手柄ね、ルーク」