moonlight night

今夜は満月の綺麗な夜。
僕は食事をするためにとある町に来ました。
満月の夜はなぜかご馳走が多いんです。
今夜もたっぷりと頂いてきました。
「ふぅ、なかなかいいですねぇ、この町は」
僕は食後の運動にと散歩をする事にしました。
まぁ、魔族である僕は太ったりなんかしないんですけどね。
気分的に、ですよ。
ぶらぶらと歩いているうちにデザートが落ちていました。
ごろつきに襲われている女性のようですね。
その女性は人気のない方へじりじりと追いつめられていきます。
女性からは恐怖とあせりの感情を頂きました。
とかなんとか思っているうちに、とうとう最悪の事態になっちゃったようです。
彼女にとってのは最悪の事態ですが、僕にとっては最高の展開です。
僕はまた彼女から負の感情を頂きます。
今度は恐怖、悲しみ、怒り、憎しみ・・・・・・おやおや、歓喜なんてのもありますね。
最後のは好きじゃないんですけどスパイスだと思えば何てことないです。
・・・・・にしてもうるさいですね、この人達は。
デザートタイムなんですからもう少し静かにして頂かないと・・・・・。
ごろつきさんたちにも困ったものです。
もっと上手くやれば良いものを・・・・・・・。
僕はふわりと中に浮かぶと、その人達の真上の木に降りました。

木に乗って、初めて僕は緑の季節だという事に気づきました。
鬱陶しい葉が僕の髪や服につきます。
葉には精一杯生きようとする生気しか感じられないので好きじゃありません。
気持ちが悪いので僕はすぐに払い落としました。
その葉はひらひらと舞い、彼らの上に落ちていきました。
が、行為に夢中で誰一人僕に気づく人はいません。
もちろん、襲われている女性にも気づかれませんでした。
彼女は叫ぶのに忙しいようですから仕方がないですね。
当たり前と言えば当たり前です。
僕は小さく笑うと、錫杖をかるく振りました。
その瞬間、肉の切り裂ける音とねじ切れる音、内蔵のつぶれる音がします。
あまり品のよい音ではありませんけど、なかなかですね。
少し経つと全ての音がやみました。
丁度よい頃と思い、僕は下に降り立ちます。
僕の目の前にはさっきまで人であった肉の塊が散らばっています。
「ごちそうさまでした、おいしかったですよ♪」
僕はにっこりと笑ってかるく会釈をするとその場を去りました。
   
僕は今どこに行くでもなくただ飛んでいます。
ふと前を見上げると、大きくて綺麗な満月。
「やっぱり月の綺麗な夜は静かなのが一番、ですね」
僕はまたにっこりと笑った・・・・・・・・・。