乙女の夢

 

あたしは草原を歩いていた。
どこまでも続く大きな草原を。
そのうち、歩いている方向にかわいい教会が見えてきた。
「いいなぁ、結婚式をあげるならこういう教会がいいわよね」
あたしは教会に向かって走り出す。
たいした距離ではなかったので、すぐに着いてしまった。
中を見ようとドアに手をかけた瞬間───
リ〜ンゴ〜ン   (鐘の音のつもり・・・・・・・)
いきなり鐘が鳴り出した。
気付くと、なぜかウエディングドレス姿になっている。
「え!?なんで??」
とりあえず、あたしはドアをあけた。
すると、タキシード姿のあいつが立っていた。
「きれいですよ、リナさん」

「・・・ゼロス・・・・・・ふふふ・・・・」
「くすくすっ、おやおや僕の夢を見ているようですね」
ゼロスはリナを起こさないよう静かに呟いた。
寝顔を見下ろすと、幸せそうな顔をしている。
「どんな夢を見ているんでしょう。気になりますね」
ゼロスは一瞬考え込むと、ぽんっと手を打ってにっこり笑う。
「そうだ!のぞいちゃいましょう!!」
そういうとゼロスはリナの頭に手を置いた。
手のひらに力を入れて集中する。
そのまま目を閉じて・・・・・・・・・・・・・・・。

目を開くと、知らない草原に立っていた。
「さて、リナさんはどこでしょう」
ゼロスは歩き出した。
しばらくすると小さな教会が見えてきた。
「あそこですね?」
教会に向かって走り出すゼロス。
教会に着くと、こっそり中をのぞく。
中にはリナが誰かと結婚式をあげていた。
相手の顔は、後ろを向いているのでわからない。
リナは幸せそうな顔をして相手を見つめている。
「そ、そんな・・・・・・・・。リナさんが僕以外の誰かと結婚式をあげるなんて」
ゼロスは夢の中から急いで出た。
周りを見ると、教会のあった草原ではなくさっきまでいた木の下。
ひざの上ではリナが眠っている。
「リナさん、リナさん!!起きてください!!!そんな夢は僕が許しません」
ゼロスの勝手な理由でリナを起こす。
途中で起こされたリナは不機嫌そうな顔。
「・・・ん・・・なによ、いい夢だったのに・・・・・」
リナは起きあがって目をこすると大きく伸びた。
「リナさん、何がいい夢だったんですか?」
ゼロスは知らないフリをして聞く。
声が不機嫌そうな声になっているのを自分でも気付いていない。
「あ、あんたには関係ないでしょ」
リナは顔がみるみるうちに真っ赤に染まった。
ゼロスはそれを見て更に不機嫌になる。
「確かに僕には関係ない夢でしたね」
「でしたねってあたしが見た夢わかるの?」
「リナさんがあまりに幸せそうな顔をしてるんで夢の中に入ったんですよ」
すぱこ〜ん
「勝手に人の夢に入るなぁ〜〜〜〜〜〜!!!」
「アストラル・バイン付きとは・・・・・・・・・」
魔法がかけてあったらしく、ゼロスは叩かれた部分をさすっている。
いつのまにかけたんだろう・・・・・・・。
「・・・・・どこまでみたのよ」
更に顔を赤くするリナ。
「リナさんが誰かと結婚式をあげてるとこまでです」
「な!?そんなとこまで見てたの????」
「誰と結婚式をあげてたんですか?」
「わからないの?」
「後姿しか見えなかったんですよ」
ゼロスの声はますます不機嫌になっている。
「教えてほしい?」
「はい、教えて下さい。殺してきますから」
「あんたねぇ・・・・・・」
「だってリナさんは僕のなんですよ?それなのに!!」
それを聞いてリナは笑い出した。
わけのわからないゼロスはそれをみつめるだけ。
「きゃははは!!!!あんた本当に誰と結婚式あげてたかわかんないの?」
「だから聞いてるんです」
「あんたよ」
「へ?」
しばらく間が続く・・・・・・・・。
ゼロスはリナの横にいた後ろ姿を思い出す。
黒い髪のおかっぱで、背はリナより頭一個ぶん以上高くて・・・・。
「あんた以外いるわけないでしょ。他の人と結婚するわけないじゃない」
リナはにっこり微笑んだ。
「よかったぁ。そうですよね!!!」
ゼロスはリナをぎゅうっと抱きしめる。
「いつか結婚式をあげましょう、リナさん」
「・・・・うん」