理論と現実
「で、どういうわけなんだ、だんな?」
ゼルガディスはガウリイに再び説明を求めた。
身振り手振りで話してくれるものの、話の核心が説明になっていない。
今ここでこういう状況になってようやくリナの通訳のありがたさがしみる。
そのリナがいないことについて問いただしているのだが・・・。
「う〜ん・・・・・・」
整った顔をゆがませて頭をフル回転させるがぴったりとくる言葉が思い浮かばなかった。
いえるのはリナがいない、これだけ。
「ガウリイさん、とりあえずあの女性は知らない人だったんですね?」
「あぁ、でも向こうは知ってるらしいぞ」
「だから誰なんだそれは」
少しだけゼルガディスが声を荒げた。
仕方のないことかもしれない、同じ会話をすでに一時間・・・・。
思った以上にくらげは強かったということか??
それとも三人とも動転しているのか・・・。
後者は十分にありえる話だった。
いつもいるリナがいない。
それだけのことだが、その大きい存在感がないということがどれだけ普通じゃなうことか。
特にガウリイにとっては急に酸素がなくなったに等しい。
そして自分ではわからない事態に陥っている。
説明も混乱してしまうのもしかたがないのかもしれない。
でもこれだけはいえた。
「そんな奴のことよりリナが・・・」
「本当に魔族にはなっていないんですね?」
アメリアが念を押した。
リナを信じていないなんて事は決してない。
ただ相手がゼロスとなるとなにかしかけがあるかもしれない、そんな不安がよぎるのだ。
でもガウリイはきっぱりと否定した。
「あぁ、精神だけだ」
「それなんだが・・・・ありえないんだ理論上は」
声を平常に戻して、いやむしろトーンを下げて言う。
それにアメリアも首をひねる。
「そうなんですよねぇ・・・・」
「ゼロスだってそういったぞ?」
「確かに洗脳して記憶を消すって言うのなら可能なんですが・・・」
「いいか、ガウリイ?魔族は精神体だ。体は見せかけでしかない。人間を魔族にする場合は体ごと精神を蝕むんだ。精神のみ魔族に変えてしまったら体と拒否反応を起こして死ぬ・・・・っていうかありえないんだ」
ゼルガディスなりに簡単に説明したつもりだったが、十分難しすぎた。
ガウリイの頭からけむりが・・・・。
「ガウリイさん・・・・・とにかく!無理なんです、そんなこと」
「無理でも何でもそうなんだから助けないと!」
「あぁ、もちろんだ」
「えぇ、セイルーンになんでもいから役に立つ情報を聞いてみましょう」
「たのむ」
そういうとガウリイが立ち上がり、深々と頭を下げ金色の髪がさらっと床についた。
あわててアメリアがとめる。
「やめてください、当たり前です!!」
「ガウリイだけの仲間じゃないんだから、な?」
「そっか、でもほんとにありがとう」
「それは助けてから言ってくれ」
「そうです!悪の手からリナさんを助け出してからです!!」
こうして三人はセイルーンへと向かうこととなった。
理論上はありえないリナの状況を調べるために・・・。
あたしをだして
気づいて
『あたし』は違う
あたしは違う
おねがい 金色の光よ
おねがい あたしが知ってる最後の光
あったかい 金色の・・・・
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