思春期(?)ゼロス君
とある宿屋の前の大きな木の上に、一人の青年が座っている。
青年の特徴は、肩で切りそろえられている綺麗な漆黒の髪と整った顔立ちだろう。
にっこりと笑みを浮かべてはいるが、どこか冷たい印象を受ける。
時折見せる鋭い紫の瞳のせいだろうか。
いや、その存在感からだろう。
彼はれっきとした魔族。
名をゼロスと言う。
獣王ゼラス=メタリオムに仕える獣神官。
ルビーアイの5人の腹心の次に強いと言われている。
いわば魔族のエリートだ。
が、そんなエリートも1つだけ過ちを犯してしまった。
それは一人の人間の少女に心を奪われてしまった事。
だが、ゼロスはその感情を受け入れる事が出来なかった。
ただの気の迷いだと思った。
しかし、日が経つに連れてその気の迷いは強くなっていく。
どうしていいかわからなくなったゼロスは母のような存在であるゼラスに相談した。
ゼロスの話を聞いたゼラスは、あっけにとられた顔で一言言った。
「何言ってるの、この子は・・・・・・。それは好きって事でしょう?」
好き・・・・・・?
好き=自分が物や事に好意を持つ事。又、相手に好意を寄せる事。
好意・・・・・・?
好意=好ましく思う。
好ましく思う・・・・・・?
好ましい=え〜っと・・・・・・・嫌いの反対だから・・・・・好き?
好き=自分が・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ゼロスの頭の中はパニックしている。
「で、でも、僕達魔族にはそういった感情は無いはず・・・・・・」
ゼラスはあきれたような顔をする。
「そんな事言ったって、好きになっちゃったものは仕方が無いでしょ」
「でも・・・でもっ!」
ゼロスはまだ受け入れる事が出来ない。
それどころかますます混乱するばかり。
そんなゼロスを見て、ゼラスは突き放すかとことん付き合うか迷う。
が、しかしゼラスは魔族。
・・・・・・めんどくさいなぁ・・・・・・・。
あっけなく決まった。
もちろん、突き放す事にだ。
「話はそれだけなのかしら?だったら早くでていってちょうだい」
それを聞いてゼロスはしゅうんとなってしまう。
めをうるうるさせて、下から見上げる(計算済み・・・・・)
流れてしまいそうになったゼラスだが、ここはぐっとこらえてにこっと笑い・・・・・・。
「さっさと行きなさい!!!!!!!!」
「は、はい!!!」
こうしてゼロスは追い出されてしまった。
そして今この宿屋の前の木の上にいるのである。
視線の先にはもちろん心を奪った少女リナがいる。
ゼロスは真剣にリナを見つめている。
ゼロスは「答え」を見つける事が出来るのだろうか?
そして、それを受け入れる事は出来るのだろうか?
それはゼロス自身にかかっている。
どう転ぶかもゼロスの答え次第。
だが、ゼロスが間違える事は無いだろう。
リナもまた、ゼロスと同じ思いなのだから・・・・・・・・・・。
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