強いと言う事
フィリアは大きく息を吸って、呼吸を整える。
そして、ヴァルの片手をかるく握って話し始めた。
「ある所に、神に仕える竜の巫女がいました。彼女はある信託を受けて人間の魔道士の元へ向かいます」
「それって、フィリア?」
「質問はあとね。彼女達は、ダークスターと言う魔王の武器を集めている魔族と異世界の人達と戦ったの」
(異世界の人達・・・・?)
ヴァルの頭の中には???だらけ・・・・。
魔族の事はわかるがその他がわからないようだ。
「魔族の中に、1人の青年がいたのよ。青年は元々最強の竜族で死にかけた所を魔竜王に助けられたそうなの」
「なんで強い竜が死にそうになったんだよ」
納得のいかないヴァルは聞いてしまった。
フィリアが一番答えたくない事と知らずに・・・・・・・・・・・。
質問は後と言ったが、これは答えなければなるまい。
「その青年はエンシェントドラゴンと言うの。最強の竜族よ。でも、その力を恐れたゴールドドラゴンたちが・・・・・」
これ以上は言えなかった。
(言いたくない・・・・・私達のせいなのに・・・・・)
再び罪悪感がフィリアを襲った。
「ゴールドドラゴン?フィリアもゴールドドラゴンだよな。そういえば、俺って金色じゃないし何ドラゴンなんだろう」
「あなたは・・・・・・エンシェントドラゴンです」
フィリアはぎゅっと目をつぶった。
(とうとう言ってしまった・・・・・・)
ヴァルの顔を見るのが恐い。
出来る事ならここから逃げ出してしまいたい。
でも、いくら逃げた所で事実は変わらない。
受け止めなければ・・・・。
「フィリア、でも俺生きてるよ?そのドラゴンたちはゴールドドラゴンにやられたんだろ?」
「・・・・その・・魔竜王に助けられたのが・・・あなた・・なの」
「でも俺は魔族じゃないよ?」
ヴァルの言ってる事はもっともだが、ヴァルの場合は普通ではない。
なぜか竜の部分の魂だけが再構成されて戻ってきたのだ。
この事を説明してもわかってくれるかどうか・・・・・・。
(まだ早かったのかしら・・・・・。そうよね、小さな子にわかる話ではないわ)
「ヴァル、この話はもう少し大きくなってからにしましょうか」
ここまで話してしまったのに途中で止めるのはいけないような気がした。
でも、逃げだと言われてもいいから話すのは今度にしたかった。
ヴァルはまだ幼い。幼すぎる。
(・・・・ただのいいわけなのかもしれない・・・・・)
フィリアは少しでも話したことを後悔してしまう。
こんな中途半端な所できるなんて・・・・・・・。
(私ってなんて弱いのかしら・・・・・)
フィリアは自嘲気味の笑みを浮かべた.
そこに、ヴァルが真剣な顔をして言った。
「俺、今の話はよくわからないけどこれだけはわかる」
ヴァルはまっすぐフィリアを見つめた。
へへっと笑って──
「俺は強いって事だよな?」
「・・そうね、あなたはとても強いわ」
(もちろん力も強いけど、中身もちゃんと強いわ・・・・・・私と違って・・・)
こうして夜はふけていった・・・・・・。
フィリアが話の続きを話すのはそう遠くない。
ヴァルは強さを持っているから。
後は、フィリアが強くなるだけ───
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