三世の章〜前世〜

「やはり魔族なんて好きではないわ」
「ならばなぜ避けなかったんです?僕を殺すという手もありましたけど?」
すでに目の前の女性には立つ力さえ残っていないようだった。
どこからともなく流れる紅い血が彼女の死を語っている。
・・・・・・出血多量。
顔はすでに白い。
「・・・・んぐっ・・・・・・・はぁ・・・・・・・あたしには到底無理ね」
「まぁ、殺すというのは、でしょう?反撃ぐらい出来たはずです」
「・・・・げほっ!・・・・・・あぅ・・・・・・・・・・・・次に会ったときは覚えてなさいよ」
「はい・・・・・・今度は・・・・・・・人間には生まれないでください」
「くすっ・・・・力があれば何でもいいわ。私たちを守れる力があれば」
「もう寝てください、苦しいのでしょう?・・・・・・・・・・・・・・・おやすみなさい」
優しく伸ばされた両手から、激しい光が解き放たれた。
「・・・・っうわぁぁぁぁぁ!!!!」

これがこの魂の昏迷の始まりだった。
彼は気づく。
彼女は再びおちる。