獣将軍覚醒
<1>

──あ・・・待って!!
─やだ!消えちゃう!みんな消えちゃう!!
───行っちゃやだ、ガウリイ!!
──・・・・・・・あれ?ガウリイって誰?
───そんな名前の人知らないわ・・・・・・・・

棺のような台で寝ている少女が急に目を開いた。
少女の瞳は綺麗な朱紫色。
その綺麗な瞳をパチパチと数回瞬きすると、状況が全くわからず首をかしげた。
「・・・・・?」
とりあえず周りを見まわす。
「真っ暗・・・・・・・だけど気持ちい・・・・・」
『・・・・・くすくす、やっと起きたの?お寝坊さんねぇ』
闇からゆっくりとした優しい声が響いた。
少女は近くにある誰も座っていない椅子に話しかける。
「あなたはだぁれ?」
『あら、私のいる所がよくわかったわね』
返事が返ってきたかと思うと、椅子には綺麗な女性が姿をあらわした。
長くて艶のある金色の髪に、綺麗な紫の瞳、すらっとしているが艶っぽい女性。
少女はしばしの間その女性に見惚れて声が出なかった。
「私は獣王ゼラスよ。わかるわね?」
「・・獣王・・・ゼラ・・ス・・・・様・・・・?・・・・あたしの・・・・・
・・あたしの創造主・・・・・あたしが従うべき存在・・・・・・・あたしの・・・母・・・」
少女はたどたどしく頭に浮ぶ言葉を口に出した。
ゼラスはその答えに満足そうに微笑んだ。
「そうよ、いい子ねゼリス」
「ゼリス?・・・・あたしの名?」
「そう、あなたは獣将軍リナ=ゼリス=メタリオム」
「リナ・・・・・ゼリス・・・・メタ・・・リオム・・・・・・獣将軍・・・・」
「ゼリス、あなたは私によってさっき生まれたばかりなの。わからない事がいっぱいでしょう?わからない事があったらあなたの兄にあたる獣神官ゼロスに聞きなさい。わかったわね、ゼリス?」
ゼラスは幼い子を諭すようないい方でリナにいいきかせた。
(どうやら起きたばかりで少しボケてるわね。性格は変えてないからこんなにおとなしいはずはないわ)
「・・・・兄?・・・・・ゼロス?・・・・・・・・・・」
リナがゼロスの名を口にした途端にゼロスが姿をあらわした。
「呼びました〜?あ、起きたんですねリナさん♪」
宙に浮いていた状態からすとんっと降りるとリナの側により、頭をくしゃっとなでる。
(さ〜て、ちゃんとガウリイさん達の事は忘れてますかねぇ)
頭をくしゃっとなでるのはいつもだったらガウリイのする事。
これをする事でリナがガウリイ達を忘れているかどうか試したのだ。
案の定リナは思い出したようなそぶりはなかった。
ただニコニコと笑ってなでられているだけ。
「ゼロス、この子は妹なんだから『さん』はいらないんじゃないの?」
「それもそうですね、以後気をつけます」
「あなたがゼロス?」
リナが初めてゼロスにあったような聞き方で話しかけた。
今のリナに過去の記憶はない、ゼロスに会うのも初めてだと思っているようだ。
ゼロスはなでる手をとめて、あらためて挨拶をする。
「そうです、ゼロスですよ。あなたの兄になるんですかねぇ。僕の事は・・・・あ!兄様って呼んでもらえます?」
「あ〜、ずるいわよゼロス!じゃ、私はお母様って呼んで♪いいわね、ゼリス?」
「はい、兄様、お母様」
どうやらゼラスは一度お母様と呼んでもらいたかったらしい。
ゼロスのほうもそうなんだろうか・・・・・・・・。
魔族の趣味って一体・・・・・・・・・。


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