唯一の違い
<1>

ふわり───こけっ・・・・
とある宿屋の部屋にゼロスとリナが降り立った。
上手く着地できなかったリナをゼロスが手で支える。
「もう、兄様!!これくらい1人でできるわよ!!」
「でも今こけたじゃないですか」
「・・・うっ・・わ、わざとよ!!」
「はいはい、そうしておきましょう」
話だけ聞いているとただの仲のよい兄弟に見えるが・・・・・・・。
実は魔王の腹心獣王ゼラスに仕える獣神官と獣将軍。
獣神官ゼロス=メタリオムのほうはもう何千年も仕えている。
実力の方も腹心に次ぐ実力をもっていて降魔戦争では大活躍した魔族。
一方獣将軍リナ=ゼリス=メタリオムは生まれたばかり。
本人は覚えてないが元はリナ=インバースというかなり強い人間だった。
だったといっても、今も人間である事に代わりはない。
体や魂その物は人間と同じだ。
だが、今はゼラスに術をかけられ完全な魔族だと思いこみ獣将軍をやっている。
異例中の異例だがこれも計画のうちらしい。
何はともあれ今日はリナのお披露目。
ゼロスはリナを連れてある人間の元へやってきている。
二人の訪れた部屋の中には大きなクリスタルがかまえている。
その中には人間が3人・・・・・・・。
リナは興味を覚えてクリスタルに近寄った。
そ〜っと触れようとしたとき───
「リナ!触ってはいけません!!」
びくっ!
ゼロスのいきなりの声に驚いてリナは慌てて手を引っ込めた。
すまなそうな顔をしてしゅんとなってしまった。
「・・・・・なんでだめなの?」
「それに触ったら一緒にクリスタルになってしまいますよ?」
兄様が治してくれるでしょ?」
「う〜ん、出来る事は出来るんですけどちょっと問題があるんですよ」
ゼロスは本当のことを言うわけにはいかず返答に困った。
ただの人間相手ならさらっと騙す所だが相手はリナだ。
簡単には騙されてくれないだろう。
(あなたにかけた術に影響が出るなんて言えませんしねぇ・・・・・・・)
「じゃあ、これ壊してもいい?」
リナがクリスタルを指差してとんでもない事を言いだす。
ゼロスは思わず顔を引きつらせた。
「僕個人の意見としては壊したいところなんですが、ゼラス様に止められているんでだめですね」
「え〜、つまんないわね。ねぇ?ちょこっとならばれないわよね?」
なかなか引き下がらないリナ。
この辺は前と全く変わっていないようだ。
ゼロスは今にもクリスタルを壊しそうなリナをなんとか止める。
「うわぁ、リナやめなさい!!ゼラス様に怒られちゃいますよっ!!」
「う〜ん・・・・・・・つまんないわ!!」
「それでは、このクリスタルの中から3人を出してみませんか?」
「なんであたしが人間なんか助けなきゃいけないのよ」
かなりいやそうな顔で答えるリナ。
ゼロスは命令されているのでなんとしてもリナに3人を出させなければならない。
小さい子を騙すように、リナに興味を持たせようとがんばる。
「この3人をだすとおもしろい事が起きますよぉ?」
「ほんとにおもしろいの?」
「えぇ、それはもちろん♪」
ゼロスが自信たっぷりに答える。
リナはまだ乗り気ではない様子。どこから壊そうかなぁなどと呟いている・・・・・・。
(・・・困りましたねぇ・・・・こうなったらあれで・・・・)
ゼロスは最終手段に出た。


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