お試し期間
「さ〜って、今回もまた始まってしまいましたこの企画!!」
「・・・・・・・・おい」
「僕達魔族にとっては暇つぶし・・・・いえ!とてもおもしろい行事となっておりますあれ!!」
「・・・・・お〜い!!」
「その名も『魔族適性試験』です!!」
おぉ〜、どこからか拍手や歓声が響いてくる・・・・・・はずがない。
あたしは大きく息を吸い込むと、思いっきり吐き出した。
「いいかげんに人の話を聞け!!」
もちろん、言った相手は魔族ゼロス君である。
いつもいつもいきなりわいて出てくる事で有名なやつ。
しかし!!今回ほど迷惑な登場の仕方はないだろう・・・・・・。
こともあろうに乙女が眠っている真夜中に、きらびやかなネオンと共に現れたのだからたまったものじゃない。
あ〜あ、また厄介な事にまきこまれるんだろうなぁ・・・・・・・・。
1人盛り上がるゼロスをよそに、あたしはがっくりと肩を落とした。
「は〜い、皆さん用意はいいですかぁ?」
ごきげんなゼロスが『必勝』の鉢巻きをまいてまだパジャマ姿の4人を見下ろしている。
4人は前にはなぜか机と椅子が並んでいた。
「・・・・・・なんであたしがこんな事しなくちゃいけないのよ」
「・・・・・・おれ、テストって0点しかとった事ないぞ・・・・・・」
「ふふっ、王宮でしぼられましたからテストには自信があります!!」
「・・・・・ふっ・・・・くだらん・・・」
それぞれ思い思いの事を呟いているが、ゼロスはそんなこと気にしない。
4人が座ったのを確認すると、ペーパーテストを配った。
「いいですか?制限時間は30分です。その間にこの50もんの問題に答えてください」
「・・・・これって性格判断テストじゃない!?なんでそんなもの魔族にされるのよ!!」
「普通の性格判断テストじゃないですよ、特別なテストです♪合格者には特典をつけますよ?」
「よっしゃ〜!!やってやろうじゃないの!!」
「鉛筆と消しゴムは机に用意してありますからそれを使ってください。さぁ、始めてください!!」
こうして一方的に試験は始まった。
第一問 もしあなたが空間を渡れたらまず何をしますか?
(ふふっ、世界中のお宝をあたしの物にするわ!!)
(世界中の食い物を食べに行くな〜、きっと)
(正義を広めます!!)
(・・・・・体が元に戻れる方法を探す)
第2問 あなたの気に入っている物が他の誰かに奪われてしまったらあなたはどうする?
(奪い返してそいつをぶち殺すにきまってるでしょ!!)
(とり返して食い物をおごってもらう)
(私が正義の鉄槌を下します!!)
(気に入っている物などない)
こんな感じでテストは進められる。
そして30分後、制限時間は訪れた。
「はい、鉛筆を置いてくださいね。テスト用紙を回収します」
ゼロスがなれた手つきで用紙を集めていく。
4人を答案を見ると、ほぉとおもしろそうに声をあげた。
ある答案を見た時にゼロスの目が開いたのを4人は気づいていない・・・・・・。
リナは気持ちよさそうに伸びをしているし、ガウリイはもちろん眠っている。
アメリアはお子様なので目が半分閉じていて、ゼルはあさってのほうをむいている。
ゼロスは再び瞳を閉じて、いつものニコ目に戻るとふわりと宙に舞った。
「今回の合格者はやはり思った通りでした」
「あたしでしょう?早く何かちょうだいよ」
リナが何も知らずに両手を差し出す。
それを見たゼロスは高度を下げてリナに近づくと、リナの手を取り銀の腕輪をはめた。
次にゼルにも同じ腕輪をはめる。
その腕輪は、光を浴びている訳ではないのに不思議とほのかに光り輝いている。
ボタンのような突起が3つ並んでいて、それぞれ色が赤・黄色・青となっている。
「その腕輪にはボタンがついています。それを押すと、一定時間魔族になることが出来るんです」
「・・・なっ!?そんなのになりたくないわよ!!今すぐ外して、ゼロス!!」
「腕輪を外せ!!」
二人は同時に声を出した。
しかしゼロスはにっこりと微笑むだけで何もしない。
かわりに、更に高く宙を昇った。
「その腕輪は3つのボタンをそれぞれ一回ずつ使わないと外れませんよ」
「・・・・・このボタンの違いは何なの?」
「時間の違いですよ。青は1日、黄色は1ヶ月、赤は使った人間の精神力次第ですね」
「どういうことだ?」
「精神力が強ければ強いほど長く魔族でいられます。お二人だったら一生って言うのもあるかもしれませんねぇ」
「・・・うそでしょう・・・?」
「僕は嘘はつきませんよ、あなた方がよく知っているでしょう?・・・・くすっ・・・それでは、さようなら」
ゼロスはぐんぐん昇っていき、やがて消えた。
後には眠っているアメリア、ガウリイと、呆然と立ち尽したリナ、ゼルだけ。
腕輪は尚も輝き続ける────
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