Missing parts

僕達が一緒に暮らす事になった次の日、さっそくリナさんは問題を起こしてくれました・・・・・。
リナさんは朝早く起きると、いきなり僕の所にやってきてこういったんです。
「服がない」
そんなこと言われても僕には服のかえなんていりませんから小屋には一着もありませんでした。
そこで僕は正直にないと言ったんです。
「すいませんがここには服なんてないですよ?」
「え〜!!!じゃあ、ゼロスは服着替えてないの!?」
リナさんはいかにも汚いと言ったような顔で1歩下がりました。
人間ごときにそんな事をいわれて少し腹が立った僕は瘴気を抑えるのを緩めたんです。
こうすればこのうるさい少女が近寄らなくなると思ってのことなんですが・・・・・・。
いやぁ、若気のいたりですね。
─――――ブワッ・・・・・ッパーン!!
僕を中心に風が舞い、小屋のガラスはことごとく壊れていきます。
リナさんは驚いた様子でそれを見ていました。
驚きのあまりに何もいえなかったんでしょうね。
そのころのリナさんは魔族に狙われていませんでしたからねぇ。
「少し静かに出来ませんか?それにリナさんの服なんて僕には関係ない事でしょう」
リナさんは黙ったまま僕をじっと見つめていました。
少しやりすぎましたか、と思った僕はしかたなくにっこりと微笑みました。
「ガラスは当たっていませんね?さて、片付けないと」
優しくそういってガラスを片付け始めた僕。
しかしリナさんは一向に動く気配も見せず、下を向いていました。
「ガラスが当たってしまいしましたか?」
「・・・・・よ・・・」
「よ?」
「・・・ったく!!なんなのよ!!」
リナさんはいきなり僕の方を見たかと思えば右手を振りあげ・・・・・
バシッ!!
はじめて人間に叩かれました。
この僕がですよ?
まぁ、痛くはなかったんですけどね。
「あたしは服のことを聞いただけでしょう?なんでこんな目にあわなきゃいけないわけ??」
「・・・・・・・今、僕のこと叩きましたよねぇ?」
「だから何?あんたはあたしに向かって凄い風を起こしてガラスを割ったでしょう?」「ほぉ・・・・おあいこだとでもいいたいのですか?」
「あら、もう少し痛めつけてもよかったけど?」
そのとき僕は殺してしまおうかと思いました。
それぐらい不愉快だったんです。
リナさんはずっと強い光をたたえた紅い瞳で僕を睨んでいましたし、何よりその瞳が嫌だったんですよ。
「あなたはなにか勘違いをなさっているようですねぇ」
「それはあんたでしょう?」
「なぜ僕なんですか?」
「ゼロス、あんた魔族でしょ?それをあたしは知らないと思ってない?」
「なんだ、知ってたんですか。それなら話は早い、あなたの立場はわかっているでしょう」
「くすっ、あんたがどれだけ高位の魔族かはよくわかんないけどあたしは負けないわ」
そう言ってリナさんは不敵に笑いました。
「たかが14になったばかりの人間に何が出来ますか?」
「あたしを普通の人間と思わないことね」
「知ってますよ、スィーフィードナイトの妹でしょう?それがどうかしましたか?」
「そっか、知ってたんだね。それであたしを殺さずにいたわけか」
「他に殺さない理由なんてあります?ないでしょう」
「まぁね、でもそのことじゃないわ」
「他にも何かあるんですか?」
「ねぇ、あたしが姉ちゃんのこと覚えてるってことはどう言う事だと思う?」
「・・・・なっ・・・記憶をとりもどしたんですか」
「そう言う事♪朝起きたら誰もいないし仕方なく2度寝しようと思ってたらあんたが宙からわいて出たのよ」
「それで僕が魔族だとわかったわけですね」
僕が出かけていたのは朝の3時でした。
そんな時間に目が覚めるなんて思いもしませんでしたから気をつけていなかったんです。
「それでちょっとかまかけたのよ」
「それに引っかかったわけですか、僕が」
「そう、それと♪記憶が戻ったからには呪文もばっちり思い出したわよ」
「呪文?どうせ僕には効きませんよ」
「そうかしら?あたしが知ってる中で1番強い呪文ならあなたにも効くわ、絶対にね」「・・・・絶対?」
いまにしてみればそれはギガスレイブの事だったんでしょうね。
確かにあれなら僕にも効くでしょう。
もっとも、いまのリナさんは使いませんけど。
その頃の僕はそんな事全く知りませんでしたから戯言だと思ってました。
でも、僕にそんな口をきいたのはリナさんが初めてだったのでおもしろかったんです。
「絶対に、よ♪」
「それではどうします?試してみますか?」
「やだ」
ずべしっ!!
そこでそう言われると思わなかった僕はガラスの散らばった床に・・・・・・・・・。
「あ〜あ、顔中にガラスが刺さってるわよ?ま、大丈夫でしょ」
「痛くはありません・・・・・・」
「それじゃ、あたし自分の食料とってくるわ」
「ま、待ってください・・・・・・。僕が魔族だとわかって、しかもあなたの記憶が戻ったのに?」
「わるいけどしばらくあんたと一緒に暮らすわよ」
「僕は嫌なんですけど」
「魔族に人権はないわ!!」
リナさんはきっぱり言いました。
たしかに人じゃないですから人権はないですけど・・・・・・・。
「僕があなたを殺すといっても?」
「あたしを殺していいなんて上から命令されてないでしょう?」
「殺しちゃいけないともいわれてませんが?」
「ふ〜ん、あたしを殺したらスィーフィードナイトが出てくるかもしれないわよ?」
「・・・・・・わかりました。確かにいまはあの人と揉め事は起こしたくないですからね」「じゃっ、いってきま〜す」
「・・・・・はぁ・・・・・・」
大きくため息を吐いた僕はがっくりと肩を落としました。
これから先のことを考えると、どうしても面倒な事になる気がしたんです。
それは僕が思っているよりも面倒な事になっていくとは思いませんでしたけどね。