Missing
parts
リナさんに素性がばれてしまった以上何もする事がなくなってしまった僕は、ただぼけ〜っとしていました。
しかたないですよね、せっかく裏でこそこそと調べたり用意したものが全て無駄になってしまったのですから。
それからどれぐらい経ったのでしょうか、少し遠くから聞えてきた爆音で僕ははっと正気に戻りました。
「・・・・・・まさかと思いますがリナさんじゃ・・・・」
いや〜な不安を胸に現場と思われるところへ跳ぶと、案の定リナさんがいました。
腰に手を当て不敵な笑みを浮かべる彼女の前には倒れたごろつきの山、山、山・・・・。
どうしてこうリナさんは昔からあぁなんでしょうかねぇ・・・・。
僕は木の上でリナさんの様子を見ていました。
実はリナさんの少し後ろにまだ残党がいたんです。
それは3人でしたが、気配を隠すのが得意らしくリナさんは気づいていませんでした。
「どうするんでしょうねぇ、彼女は・・・・くすっ」
3人は僕の思惑通りリナさんの3メートル近くまで近寄りました。
一方リナさんは両腕の中のお宝に瞳を輝かせています。
「おやおや、やはり大口叩いても少女は少女ですねぇ。油断しすぎですよ、リナさん」
木の上で僕はくすくすと笑いながら様子を見守るだけ。
かなり離れているのでリナさんに気づかれる事はありませんでした。
もちろん残党達にも気づかれていません。
リナさんはお宝に、残党はリナさんしか目に入っていませんからね。
「ぶつぶつうるさいわよ、ゼロス!!そんでもって後ろの残党さん?そんなにゆっくりじゃあたしは倒せないわよ?」
「・・・・・なっ・・・・エルフ並ですね・・・・耳がよすぎですよ」
「場所が場所だからでしょ?何もないところじゃ声は通っちゃうのよ・・・・ドラグスレイブ!!」
「え!?うっわ〜、ひでぇぞ!!そっちと話してたんじゃ・・・・・・うぐっ・・・・はぅ・・」
「あ、あにき!!・・・・お・・おれも・・・・はぅ・・・・」
「・・・・・・ばたん・・・・・」
「あ〜あ、残党さんもかわいそうに・・・・」
「そんなことこれっぽっちも思ってないくせに」
「はっはっは、気にしちゃいけませんよ」
ちっちっちと指を振ると、僕はリナさんの元へ跳びました。
一瞬リナさんは面食らったようでしたがすぐににやっとした笑いに変わりました。
「どうしたんですか?にやにやして」
「いや、べっつに〜?」
「ま。いいですけどね。僕は先に帰ってますよ、それじゃ」
「え?待ってよ!!あ〜!!ずるい!!」
ぎゃあぎゃあわめくリナさんを置いて僕は先に小屋へ戻りました。
心なしかいつもより体が軽かった気がします。
それと、毎年嫌になる紅葉があの時は少しだけ綺麗に見えました。
僕は魔族なんですけどねぇ・・・?
くすっと微笑んで小屋に入ると、入ってすぐ目の前にあるテーブルの椅子に腰掛けました。
もちろんドアの真正面になるように座って、リナさんの帰りを待つのです。
これはこのあと習慣となり、僕の1番楽しい時間となります。
ドアをあけて入ってくるリナさんの表情を考えてると、時間なんてあっという間に過ぎ去るのです。
そしてリナさんが勢いよくドアをあけ「ただいま」と言い、それに僕が「おかえりなさい」と返す。
たったそれだけのことなのに、僕はあの瞬間がたまらなく好きでした─――――。
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