Missing parts

夕食を終え散歩を始めた僕ら。
僕としては紅葉を楽しみつつ、少しお喋りでも、と思っていたのです。
が、歩き始めたとたんにリナさんの質問攻めにあいました・・・・・。
さすがに魔道士をやっているだけあって普通の方よりは理解をしてくれるのですが、やはり無理な所もありました。
初めの質問は魔族とは何なのか、だったと思います。
「魔族ってなんなの?」
よほど興味があるのか、目を輝かせて僕に聞いてきました。
お得意のそれは秘密ですを使おうかとも思いましたが、なぜかリナさんには話したかったのです。
とりあえず簡単に説明しました。
「僕らは無を求める者です」
「・・・無??」
「人間は僕らを滅びを撒き散らす者だと思っているようですが、それは無に還す為に行われた事の結果なのです」
「ん〜、確かに無に還すには滅ぼさないといけないわよね」
「でしょう?」
「でも、それならあんたらだけで勝手に滅んでればいいじゃない」
「それでは意味がないんですよ。僕らだけが無になるのではなく全体を無にするのです」
「よくわかんないわね」
「リナさんは人間ですから」
僕は苦笑を交えてそう言いました。
そしてリナさんは難しい顔をして真剣に悩んでいるようでした。
が、すぐに今の問いはあきらめて次を聞いてきます。
「じゃあさ、魔族って感情とかある?上からの命令って絶対なんでしょう?感情があったら邪魔じゃない?」
「・・・感情・・・ですか・・・・」
確かに魔族にも感情のようなものはありますが、人間と同じかどうかはわかりませんでした。
そんな事考えた事もなかったですし、考える必要もなかったですからね。
とりあえず僕がわかることだけ話しました。
「人間と同じではないと思いますがありますよ」
「邪魔にならないの?」
「いえ、感情よりも命令の方が優先順位が高いんですよ」
「ふ〜ん、たいへんなのねぇ」
「そうですね、上の命令がどうしてもいやでも実行しなければいけませんからね」
「嫌な命令なんてあるの?」
「ありますよ、例えば気に入っていた場所や物を壊さなきゃいけないとか・・・・・殺さなきゃいけないとかね」
「魔族が気に入るなんてことあるの?」
「たまにですけどね、僕達は珍しい物が好きなんですよ」
「珍しい物、ねぇ・・・・」
「リナさんのことも結構気に入ってますよ。こんな人間いませんからね♪」
「なっ、魔族なんかに気に入られてもうれしくないわよ!!」
慌てた様子のリナさん。
僕を置いてさっさと早足で歩いていってしまいました。
「まってくださいよ、リナさん」
「あんたが遅いんでしょう、早く来なさいよ」
「いいんですね?」
「は?」
僕は確認を取ると、リナさんの目の前まで空間を渡りました。
リナさんは早足で歩いていた事もあって急には止まれず、僕にぶつかって2,3歩後ろに下がりました。
「うきゃ〜!!いきなり現れないでよ」
「早く来なさいって言ったのはリナさんじゃないですか」
「そういう意味じゃなってば」
「はっはっは、気づきませんでした」
「・・・・もういい・・・・。次の質問するわ」
「いいですよ」
「ゼロスはいつまであたしといるの?」
ピタッ─―――
僕は歩くのを忘れ止まってしまいました。
ここでようやく思い出したのです。
僕とリナさんはいつまでも一緒にいられるわけではないと言う事に・・・・・。
僕を飽きさせる事のないリナさんと一緒に生活した時間は、永遠に続くような錯覚を生み出していたのです。
しかし、そんな事は無理に決まっています。
僕は魔族でリナさんは人間なのですから・・・・・・・・・・。
無を望む者と有を望む者。
僕らは相反する存在。
常に反対側にあり、重なることの許されぬ光と闇―――――――あれ?
なぜ僕はリナさんと一緒にいることを望むのでしょう。
なぜ一緒にいられないことに落胆するのでしょう。
なぜ?・・・・・何故?・・・・・ナ・・・・ゼ?
その時の僕の中は混乱だけでした・・・・・・・。