忘却の中の光輝

「で、今日もこの町ぜ〜んぶ探したけどいなかったわよ?どうする?」
後ろを歩く少女が呆れた声で、いや、つかれた声でそういった。
たしかにこの町にあいつはいなかった。
けど、この町にいる気がするんだ。
俺がこの少女とこの町であいつを探してすでに一週間が経った。
毎日毎日待ちの中をすみからすみまで探している。
なのにあいつは見つからない・・・・・・・・・・・。
「・・・・・明日もこの町を探す、絶対にこの町にいるんだ・・・絶対・・」
「そう、この町にいるのね?本当に?」
「あぁ、本当に」
「でもあいつとやらは見つからないわよ?こんだけ探してるのに」
「きっと怒って俺から隠れてるんだ」
「・・・・何か怒られるようなことしたの?」
「・・・・・わからない」
「ねぇ、あたしの顔を見て話してくれない?」
「見てる」
「あんたは確かにこっちを向いてるけど、あたしの顔を通り過ぎた所を見てるわ」
「ちゃんと顔を見て話してる」
俺はちゃんと少女の顔を見て話している。
人と話す時に相手の顔を見ないなんてそんなことしていない。
この少女は眼が悪いんだろうか?
「・・・・明日、この町を探して見つからなかったら、あたしはもう家に帰る」
「そっか、そうだな、そのほうがいい」
「そのときはあんたもあいつのことはすっぱり忘れた方がいいわ」
「・・・・・いやだ」
「だめ、無理やりでもなんでもあんたからあいつの記憶を完璧に消すから」
「・・・・・いやだ」
「そのほうがあんたのためにもいいんじゃない?」
そう言ってやはり傷ついたような瞳をこっちへ向けた。
ほら、やっぱり俺はちゃんと少女の顔を見てるじゃないか。
どんな表情をしてるかだってわかるし、どっちを向いてるかだってわかってる。
やはり眼が悪いんだろう。
「・・・・ほら、やっぱり『あたし』を見ていないじゃない。見てるのはあたしの顔の向こうね、表情ぐらいしかわかってないでしょ」
「見てると何度言えばわかる?」
「・・・・・・・ま、いいわ。宿屋に戻りましょ」
「・・・あぁ」
なんだか居心地の悪い雰囲気になってしまった。
だいたい、なんで俺がこの少女の言う事をきかなくちゃいけないんだ?
同じ病院に、同じ日に運びこまれたってだけの繋がりなのに。
病院の先生が言うには俺のすぐ近くに倒れてたって言うけど・・・・・・。
それだってただの偶然かもしれないじゃないか。
俺は確かあの森にあいつを追いかけてて・・・・・・あいつが何故か俺から離れて・・・・・何かと戦って・・・・。
そう、そのなにかに負けたんだ。魔族だった気がする。
もしかしてその戦いにこの少女は巻き込まれたのかもしれない。
だとしたら、少しぐらいは面倒見たほうがいいよな、うん。
きっとあいつだって見つかるさ、暗い方に考えてたらあいつに吹っ飛ばされる。
明日はがんばるか♪
俺は気持ちが少し軽くなったからか、後ろを歩く少女に早さをあわせてゆっくりと歩き出した。