光輝 揺らぐ
宿屋に帰ったあたしは、部屋にガウリイがいないのを気にしながらもお風呂に入り月を見上げていた。
「ん〜、綺麗ね〜」
届くはずないのはわかってるけど手を伸ばしてみる。
色といい、なにといい・・・・・・そっくりだと思った。
「・・・・・なんでいつも見えるのに届かないのよ」
月に向かって愚痴ってみるが、もちろん返事はなく・・・・・・。
それでもあたしは続ける。
「大事な事、いつも話さないね」
シーン・・・・・・
真夜中だからというのもあって、あたしの声以外何も音はしない。
ここは宿屋の持っている、宿屋の裏の林の中にある露天風呂だから人気もない。
あたしは無性に寂しくなって、月への語りかけをやめなかった。
「好きだよなんていらない・・・・・・」
あいつが二人っきりの時に言ってくれるのは「好きだよ」だけ。
あたしがほしい言葉じゃない。
「欲しいのはそんなんじゃないの・・・・・」
欲しいのは・・・・・・欲しいのは・・・・・・
もっと強い言葉、もっと胸をぎゅっと締め付ける言葉
「あたしが欲しいのは・・・・・・」
「・・・・愛してる?」
いきなり背後で声がして、つい反射でファイアーボールを発動させた。
効くはずなんかなかったのに・・・・・・・あぁ、動揺してたのよ!!
「おっと、あぶないですねぇ。人間ならよけられませんよ?」
そういっておどけて見せるのは生ゴミゼロス。
せっかく人がしんみりと感傷に浸っていたというのに・・・・・・・・。
「なんか用?」
「そんな冷たくしたら泣いちゃいますよぉ♪」
「じゃあ、泣けば」
ふいっと正反対の方向に顔を向ける。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・ん?
なんの反応もない。
音もしない。
帰ったのかなぁ。
くるっと後ろ向いたあたしが見たものは!!
・・・・・ハンカチの端をかみ締め、地面にのの字を書いているゼロスだった・・・・・・・。
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