光輝 揺らぐ

翌日少年を役所に連れていったのだが、少年はどうやら親と一緒に旅をしていたらしく住所録がなかった。
しかたなく親が見つかるまで保護施設に引き取られる事となったのだが、少年が嫌がりあたしが一時引き取る事となった。
あたしも暇なので承諾したのだが・・・・・・・・・・・・・。
「ねぇねぇ、あれ欲しい」
隣で無邪気に笑う少年は本日26個目の欲しい物をねだった。
よほど甘やかされて育ったんだろうか??
そんな事を思いながらも買ってしまう自分が悲しい・・・・・・。
「これ、いくらですか?」
勝手に店の人に値段を聞いている。
おいおい・・・。
「おや、お姉ちゃんと一緒にお買い物かい?」
「うんっ♪」
「かわいい妹だねぇ、お姉ちゃんもかわいい事」
「僕妹じゃないよ?」
「あら、弟だったの?ずいぶんかわいいから間違えちゃったよ」
そりゃそうだろう、あたしも最初女の子だと思ったし。
くりくりした金髪ショートでぱっちりした紅い瞳、ならぶと姉妹に見えるのは当然。
「ねぇ?今日はずいぶん欲しいもの買ったじゃない?そろそろ帰ろうよ」
「う〜・・・・・・・んっ、わかった、かえろ?おばちゃん、やっぱりそれ買わない、ごめんなさい」
「いやいや、かまわないよ、また来ておくれ」
思ったより素直で礼儀正しいじゃない。
あたしは少年の手を握って、宿屋へと歩いた。
子供の体温は暖かく、全然嫌じゃなかった。
・・・・・・人肌が恋しかったのかもしれない、ガウリイと会ってないから。
結婚式、一週間後とかいってたっけ・・・・・・もう移動しちゃっただろうなぁ。
式はセイルーンかな、アメリアとかいるしシルフィールもあそこにいたはずだから。
「・・・・・行きたくないな・・・」
「どこに?」
たたっとあたしの前に走り出て、下から紅い目で見上げる少年。
そういえば名前も知らないなぁ。
「ん〜ん,なんでもないわ。ねぇ、そういえば名前きいてなかったわね」
「名前?あ、そういえば言ってないね」
「うん、名前は?」
「あ!生ゴミゼロス!!」
「え?ナマゴミゼロス?」
「そうじゃなくて・・・・・後ろ向いて」
そう言われて後ろを振り向くと・・・・・・
「こんにちわ、いつの間に子供なんか作ったんですか??」
「ちがうわ〜っ、この生ゴミ!!」
スパ−ンッ!!
「・・・って、なんであんたがはたいてんのよ」
そう、あたしよりも一瞬早くゼロスをはたいたのは少年だった。
あなどりがたし・・・・・・・。
「えへっ♪なんとなくゼロスをはたきたくなっちゃった♪」
「あ、なんでゼロスの名前を知ってるわけ?」
「そうですねぇ、万が一リナさんの子供だとしても名前を知ってるだけじゃ顔を見て呼べませんよねぇ」
うっすらとゼロスの瞳が開かれる。
まるで値踏みでもしているかのように。
「え?あ・・・・・なんとなく♪えへへ♪」
握りこぶしを口元に持っていき、極上の、しかも無邪気な天使のような笑みを振りまくが・・・・・・・・怪しい。
なぜ年端も行かない少年がこんなテクニックを持っている??
おかしい・・・・・・あやしい・・・・・・。
じーっと少年を見ていたゼロスが、突拍子もない事を口走った。
「やっぱりリナさんのこじゃないですか?似てますよ」
「産んでないって何度言えばわかるのよ」
「いやぁ、でも似てますってば!」
「そうねぇ・・・・・・・」
じー―――――――――っ
それでも少年の笑みは崩れなかった。
にっこりとほほ笑み続ける。
「僕のママはおね―ちゃんに少しにてるんだ♪」
その言葉には少しも違和感がなかった。嘘をつけばどうしても違和感が出る。
それがないと言う事は嘘じゃないってことになるけど・・・・。
「ふ〜ん、とりあえずそういうことにしておきましょうか。でも僕6日ほど前に奇妙な物体が落ちたのを見たんですよね」
6日前・・・・・ガウリイと別れた日か・・・・・。
せっかく忘れていたのに・・・・・・。
自然と顔が下を向いてしまった。
鮮やかに見えていたはずの地面が滲んでぼやける。
「おねーちゃん、宿にもどろ、ね?」
あたしの返事も聞かないまま少年が腕を引っ張っていく。
ゼロスは何も言わなかった。
そしてそのまま姿を消した。
あたしたちは黙って宿屋へと戻っていった。
その間少年はあたしの方を見ず、ただ腕を引っ張っていった。