ちびゼロス 飴玉大作戦
<1>
誰も入れない静かな空間。
そこにあるのは闇と1つの影。
そして張り詰めた緊張感・・・・・・・・・。
「ゼラス様ぁ〜、ただいま帰りましたぁ」
突如ちびゼロスが現れた。
かわいらしい声で見事に緊張感をぶち壊す。
「・・・・・・・・・・せっかくかっこよくきめてたのに」
ゼラスは、ちびゼロスに雰囲気を壊され不機嫌な顔をする。
こめかみにはうっすらと青筋が立っている・・・・・・・・。
「す、すいません・・・・・・」
ちびゼロスはしょぼ〜んとうなだれた。
その姿はまるで叱られた子犬のように見える。
その様子に満足したのか、にっこり笑って問う。
「いいわよ。それより、その飴どうだった?」
その飴とは、今ちびゼロスがもっているゼラス様お手製の飴の事。
形は星型とハート型の2種類でかわいい。
しかし、色が黒と紫のマーブル模様だったりする。
そして副作用付き・・・・・・・・・・。
「え〜っとですね、星型が5,6歳になる飴でハート型が25,6歳になる飴のようです」
「あら、そんな効果しかなかったの?」
珍しくゼラスは驚いた顔をした。
普段は何があっても驚かないというのに。
たとえゼロスが滅びたとしてもにっこり笑っているだろう。
答えを聞くのが恐いが、ちびゼロスは聞いてみる。
「・・・・・本当はどうなるはずだったんですか?ゼラス様が普通の飴を作るはずありませんよね」
「・・・・・・・・・・・・・・ふふ」
ゼラスは意地の悪い笑みを浮かべただけで答えない。
「ゼラス様ぁ、教えて下さい」
「知りたい?」
「は、はい・・・・・・」
少しおびえながらも、真っ直ぐゼラスを見つめる。
しばしの間二人は見つめ合った。
不意にゼラスがに〜っこりわらって答えた。
「リナ=インバースになる飴」
「・・・・・・・・・・・・え?」
ちびゼロスは一瞬思考回路が止まった。
「だ〜か〜ら、ほんとだったらリナ=インバースになる飴だったのよ」
「そ、それじゃあ僕はもしかしたらリナさんになってたかもしれないんですか!?」
やっと動き出した頭で一生懸命考える。そして何かがおかしい事に気づいた。
「でも、飴は2種類ありますよ?」
そう、飴は2種類あるのだ。
もし全部リナになる飴だったら、材料は同じなのだから同じ効果になるはずだ。
しかし、星型とハート型では効果が違った。
それは材料が違う事を意味する。
「そうだけど、ゼロスならリナ=インバースになってたわよ」
「どうしてですか?」
「もう1つは好きな人になれる飴のはずだったから。残念だったわね、ゼロス」
ゼラスはちびゼロスの頭をなでなでしながらからかった口調でこう言った。
「リナ=インバースの体になったらあ〜んな事もそ〜んな事もできたのにねぇ」
「そんないやらしい事しません!」
慌ててちびゼロスは否定したが、墓穴を掘っただけだった。
「誰もいやらしい事するなんて言ってないわよ 」
「あ・・・・・・・・・参りました 」
「ふふ、ゼロスで遊ぶと楽しいわね。ご褒美にこれあげるわ」
ゼラスは袋に入った飴を渡した。
「・・・・・・・・・飴ですか。今度は何の効果ですか?」
「ひ・み・つ!でも、それは実験済みだから安心して」
今度の飴の効果は前の飴以上におもしろい。
だが、それを言うとおもしろくなくなってしまうのでちびゼロスには言わなかった。
ちなみに、形はくまさんとうさぎさんで色は金と赤のマーブル模様・・・・・・・・・・。
「じゃあ、効果を確めに行ってきます」
「いってらっしゃい・・・・・・・ふふ」
後には妖しい笑みを浮かべたゼラスの姿と、ちびゼロスが行った後に現れた少年の姿だけ・・・・・・・・。
「くすっ、くまさんの飴は僕が作ったんだよ」
ちびゼロスとよく似た少年が呟いた。
「あの飴を使ったら驚くわよゼロスは」
「楽しみだね、ゼラス」
少年はゼラスに様をつけない。
ゼラスと同等かそれ以上の存在なのだろうか。
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