強く儚い者たち
<中編>
ゼラスの美しい歌声が響く。
ずいぶん上機嫌なようだ
♪〜愛する人の未来など
遠い目のまま言わないで
声が聞こえる?
私の部屋へいらっしゃい
甘いお菓子をあげましょう
抱いてあげましょう
固い誓い交わしたのね
そんなの知ってるわ
”あんなに愛し合った”と
何度も確かめ合い
信じて島を出たのね
だけど飛魚のアーチをくぐって
宝島に着いた頃
あなたのお姫様は
誰かと腰を振ってるわ
人は強いものよ
とても強いものよ〜♪
「さ〜ってと、あの子はうまくやってるかしら」
ふふっと微笑むゼラス。
こうやって見ると魔族だというのが嘘のように見える。
本当に魔族なの?と聞いてしまいそうになるくらいに・・・・・・。
しかし、事実は事実だ。
変える事は出来ないし、また変えたいとも思わないだろう。
「ちゃんとリナ=インバースを始末できるのかしらねぇ」
そういってまたふふっと微笑む。
闇に浮かぶその光景はなぜか美しかった───
一方ゼロス君はと言うと、リナの泊まっている宿の部屋の前で戸惑っていた・・・・・。
手にはさっきゼラスから貰った例のものをしっかりと持っている。
しっかりと持っていると言っても、出来るだけ優しく壊れ物でも扱うかのようにだ。
「どうしたものでしょうかねぇ・・・・・・・・」
珍しくゼロスは困っていた。
一体これから自分はどうすればいいのかわからない。
ゼラスから受けた命令は「リナ=インバースを始末する」事。
最初ゼロスは、ゼラスの意地悪に引っかかりこの命令の意味がわからなかった。
しかし、わかった後でも行動に移せない。
自分にとって嬉しい事なのに・・・・・・・。
こういう事は初めてなので緊張しているらしい。
そこへ思っていなかった助け舟が!!
「ゼロス、いるんでしょう?入ってきたらどう?」
部屋の中からリナの声が聞こえた。
ゼロスの気配に気付き、でも入ってこないゼロスにいらついたのだろう。
ほんの少し声が荒い。
ゼロスは意を決して、例のものを後ろに隠しながら部屋のドアをあけた──!!
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